2017/04/12 新電力 自由化1年、全国で343万件  日本経済新聞

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【新電力ニュース】2017/04/12 新電力 自由化1年、全国で343万件  日本経済新聞
電力小売り全面自由化から1年が過ぎた。経済産業省の認可法人が7日発表した2016年度の契約切り替え件数は全国で343万件となり、このうち関東地方が5割を占めた。全国の契約切り替え率は5.4%で、7%台の大都市圏と地方との格差は大きい。一段の普及には消費者がよりお得感を実感できる工夫が求められそうだ。

電力広域的運営推進機関がまとめた地域別の電力契約切り替え件数は、関東地方が181万件と最多で、次いで関西の72万件だった。両地域で全体の7割を占めた。家庭用電力と他のサービスを組み合わせることで、本業との相乗効果を期待した異業種企業390社が新規参入した。

 堅調に顧客を獲得したのは、都市ガス大手など大都市圏に強い販売網を持つ新電力だ。

 都市ガス事業で首都圏に1100万件の顧客を持つ東京ガスは新電力で最大となる70万件の電力契約を獲得した。東京電力より割安な料金に加え、強みとする訪問営業力が奏功した。16年度目標の53万件を早々に達成し17年度は100万件を目指す。広瀬道明社長は「自由化2年目が正念場。サービスの充実など総合的に選んでもらえるよう取り組む」と意気込む。

 大阪ガスも30万件の契約を獲得し、16年度目標の20万件を上回った。都市ガス大手は今春始まったガス小売り全面自由化で顧客を奪われる立場となる。電力とのセット販売でガス契約のつなぎ留めにつなげる。

JXエネルギーは4月に東燃ゼネラル石油と事業統合し、JXTGエネルギーとなった。電力契約は3月末時点で旧JXエネが約18万件、旧東燃ゼネが約5万件の契約を獲得した。ガソリン代の値引きなど本業を生かしたサービスが好評だ。

 エネルギー大手以外も顧客基盤を生かし契約を伸ばしている。CATV国内最大手のジュピターテレコム(JCOM)は電力契約件数が全国で20万件を超えた。放送通信サービスと電力のセット割を展開する。東京急行電鉄子会社の東急パワーサプライ(東京・世田谷)は営業活動を東急沿線に集中した結果、9万4千件の契約を獲得した。

 新電力の電気料金単価は電力大手に比べ7%程度安くなったとされる。電力料金の引き下げ効果に加え、自由化の目的の一つだった顧客の選択肢拡大には一定の効果があったようだ。

 全世帯に占める契約切り替え率は5.4%だった。東京理科大学の橘川武郎教授は「全体で見るとまずまずの水準だ」と指摘。電力小売りが全面自由化した欧州各国と比較しても順調に切り替えが進んでいるという。

 ただ、地域別で見ると、新規参入業者が多い関東が7.8%、関西が7.1%と全国平均(5.4%)を上回るが、北陸や中国、四国は1%程度にとどまった。

 自由化から20年たつ英国では国民の6割が電力会社を変えた経験があり、毎年全体の1割が切り替えるという。橘川教授は「日本の電力市場を活性化するには、現在は全体の3%程度しかない卸取引の取引拡大が不可欠だ」と分析する。

 エネルギー大手のように自前の発電所を持っていない企業でも卸取引を通じて自由に電気を販売できるようになると、地方でも契約切り替えが起きる可能性がある。

 LPガスや4月に全面自由化となった都市ガス販売とのセット販売も有力な武器となる。とはいえ、ガス小売りは都市ガスの調達が電力より難しく、保安体制の確保といったハードルもある。「先行他社の動向や採算性を見極めて参入を判断したい」(東急パワーサプライの村井健二社長)という声が根強く、参入を表明している企業は全国で10社超にとどまる。

 エネルギーシステム改革の形は整った。今後、健全な競争を確保し消費者利益につなげられるか、大手電力に有利な仕組みが残され形ばかりの自由市場になるのか、真価が問われる。