2017/04/25 新電力、サービスで差異化 ユニークなメニュー拡大 日本経済新聞

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【新電力ニュース】2017/04/25 新電力、サービスで差異化 ユニークなメニュー拡大 日本経済新聞
電力会社を自由に選べる全面自由化がスタートして約1年。各社が値下げを競うが、料金に大きな差はないのが実態だ。そこで最近では、料金一辺倒ではないサービスが登場し始めた。たくさん歩くと割安になったり、映画館に行くと特典がもらえたり――。腰が重い消費者を振り向かせるには、電力会社も発想を自由にしていく必要があるようだ。

■歩数データが電気料金に反映
 「休みの日も家にこもらず、出かけるようになりました」。愛知県に住む30歳代の男性は笑う。理由はずばり、歩けば歩くほど電気代が安くなるからだ。

 この男性が利用するのは、新電力のイーレックス・スパーク・マーケティング(東京・中央)がタニタの子会社と組んで昨年10月に始めたサービスだ。通信機能を備えた歩数計を持って外出すると、歩いた歩数のデータがインターネット経由で送られ、専用サイトでグラフになって現れる。

 これだけなら従来のサービスと変わらない。新しいのは歩数データが電気料金に反映される点だ。
 イーレックスの料金は電力大手から切り替えるだけで毎月1000円ほど安くなる(標準的な4人家族の場合)。これに加え、1日平均5000歩、歩けばさらに月200円ほど下がり、1日1万歩なら一気に最大で月5000円程度、安くなる。

 冒頭の男性は毎日1万歩前後、歩くようになった。「外出時には自転車も使わない。家に歩数計を置き忘れると取りに帰る」というほど、歩くことを意識する習慣がついたという。日々の生活が健康志向になり、電気代も年間で1割以上、安くなりそう。もう以前の大手電力の契約には戻れそうにない。
 このサービスは健康への関心が高い40~50歳代の利用も多いという。イーレックスの家庭向けの契約件数(商店なども含む)は全体で5万件を超えた。

昨年4月に電力自由化が始まって以来、電力市場には新たに400社近くが参入したとみられる。消費者の獲得競争に勝ち残るには、「電気を使って生活を楽しくする」(イーレックス・スパークの秋山隆英社長)ような仕掛けが欠かせない。

 東京急行電鉄の新電力子会社、東急パワーサプライ(東京・世田谷)は、契約件数がまもなく10万件に達する勢いだ。特徴は営業をかける対象を東急沿線の住民に特化し、東急グループの商業施設と連携したサービスを提供することにある。

 例えば昨年夏に実施したイベント。東急パワーと電力の契約をした人が東急系の映画館やショッピングセーターに行くと、生ビールやポップコーンなどがもらえる。3カ月間で延べ1万7000世帯が参加したという。

村井健二社長は「暑い日に外出し、沿線の施設で楽しんでもらうきっかけになった」と手応えを感じる。猛暑日に家にこもっていると冷房の使用が増えて電気代がかさむし、地球温暖化にも拍車がかかるため好ましくない。東急にとっては、沿線住民の外出が増えればもグループ全体で売り上げを底上げする効果が期待できる。東急パワーは今年の夏も同様のイベントを開く予定だ。

■結婚式運営会社と連携も
 消費者との一体感をどう高めるかは、電気契約の継続にとって重要な要素だ。伊藤忠商事系の新電力アイ・グリッド・ソリューションズ(東京・千代田)は、結婚式に目を付けた。

 同社が今年から始めたのは、結婚式運営のメイション(東京・新宿)と組んだ新サービスだ。具体的には、メイションの格安婚礼・披露宴サービス「スマ婚」の利用者が電力を申し込むと、電気代を割り引く。毎月22日は「夫婦(22)の日」として無料にする。22日に洗濯を集中するなど、メリハリのある生活をすれば、より電気代を節約できる。

 2人暮らしの新婚夫婦は、大家族の世帯に比べると電力使用量は多くない。一見、メリットは小さそうだが、それでもアイ・グリッドが新婚家庭に目を付けたのは、「新婚の段階からなじんでもらえば、家族が増えて電力を多く使うようになっても契約を続けてもらえる」(アイ・グリッドの秋田智一取締役)との狙いがあるから。いわば青田買いだ。

 アイ・グリッドは日常生活との密接を重視し、地方のスーパーマーケットと組んだ電力サービス「スマ電」にも力を入れる。「アピタ」や「ユーコープ京都中央」などと組み、買い物の時に付けるポイントを割り増す仕組みだ。「ポイントが増えた分でおかずをちょっと豪華にするなど、生活が楽しくなるようなツールにしたい」(秋田取締役)

 電力自由化では、東京ガスの「ずっとも電気」やJXTGエネルギーの「ENEOSでんき」など、エネルギー大手が契約を伸ばしている。それでも全国で契約を切り替えた人の割合は約5%どまり。消費者はまだ自由化に満足してはいない。日々の生活を潤すようなサービスを生み出せれば、まだまだ掘り起こせる潜在需要は大きそうだ。
(企業報道部 榊原健)