2019/10/01 東電、家庭用ガス全国展開

ご質問・お問い合わせはお気軽にどうぞ
お電話は平日9時から18時まで
0120-978-105
見積り対応件数ダントツNo.1

新電力ニュース

【新電力ニュース】2019/10/01 東電、家庭用ガス全国展開
東京電力ホールディングスは家庭向けガス販売の全国展開を始める。まず年内に中部地方に、さらに関西地方にも今後進出するなど、営業エリアを順次広げていく。ガスの販売は2017年4月に全面自由化されたが、東電の地方への進出で地域をまたいだ競争が本格化する。価格競争も激しくなる見通しだ。


地方大手と出資


東電子会社の東京電力エナジーパートナーと、静岡が地盤であるガス大手のTOKAIが10月1日に共同出資会社を名古屋市に設立する。TOKAIの販売代理店を通じて、年内に愛知、岐阜、三重の各県で家庭向けガスの販売を始める。

ガス料金は中部で競合相手となる東邦ガスの標準プランよりも数%安くして販促するもようだ。東邦ガスに配管使用料を支払い、サービスを提供する。東電が50%を出資し、世界最大の液化天然ガス(LNG)の輸入業者であるJERAの調達網や設備などを活用して事業コストを抑える。

東電は16年の電力の全面自由化に合わせ、中部での電力販売に進出した。首都圏以外での電力とガスのセット販売に初めて踏み切る。中部に続いて関西地方にも進出し、大阪ガスよりも安価なガスの販売を始める予定。首都圏に次いで顧客数が多い関西を積極開拓する。

参入障壁高く


ガスの全面自由化は17年4月から開始。だが、先行して自由化された電力に比べてインフラ面などでの参入障壁が高い。首都圏では中部電力と大阪ガスが出資するCDエナジーダイレクト(東京・中央)がガス販売に参入するなどの越境事例が出てきたが、関西や中部などの地方では地場の大手電力とガス大手の一騎打ちの構図が続く。東電の進出は地方の電力・ガス会社にとって「黒船」来襲を意味する。

東電は6月末のガスの顧客数が前年同月に比べて3倍の約71万件まで増えた。東京ガス管内のガスの顧客数は全体で約1030万件あるとされ、東電がそのうち1割弱を占めるまでに規模を拡大した。首都圏で一定の顧客数を獲得できたとみて全国展開に踏み切る。

ガスの全面自由化では、体力に勝る電力会社が価格攻勢でガスの顧客を奪っている。東邦ガスの19年1~6月は電力の獲得件数に比べてガスの離脱件数の方が多かった。業界2位の大阪ガスでも自由化前の17年3月に622万件だった契約件数が、19年6月には543万件まで落ち込んだ。

関西と中部にはJXTGエネルギーも進出を検討している。「これ以上、顧客を奪われると経営が厳しい」(大ガス関係者)

だが、攻め込む東電にも苦しい事情がある。お膝元の首都圏で電力の顧客の離脱が進んでいる。19年3月期の小売事業の経常利益は727億円と前の期比37%減った。東電幹部は「顧客数の減少だけでなく、法人を引き留めるために赤字の契約も多く抱え込んだ」と厳しい表情を浮かべる。

このままでは経営がじり貧になる恐れがあるため、地方でもガスを販売して収益の底上げを図る切迫した事情がある。ただ、中部電力は首都圏でガス販売に力を入れているほか、関西電力も進出してくる可能性がある。思惑通りに顧客を開拓できなければ「東電の経営が一段と厳しくなる」(国内証券)。

一方、こうした競争激化は消費者には恩恵となりそうだ。電力・ガス大手は全社が、消費増税分を11月以降の電力・ガス料金に価格転嫁する。光熱費を浮かせようと、割安なガス料金を選ぶ消費者が増えそうだ。

新興勢力もこうした需要に商機を見いだす。新電力会社のLooop(東京・台東)は30日、首都圏で10月からガス販売に参入すると発表した。CDエナジーダイレクトからガスを調達し、東京ガスよりも約3%安い料金でガスを販売する。既存の電力・ガス会社も対抗して値下げに踏み切る可能性がある。

出典:日本経済新聞