2020/02/14 電力先物、東西価格差が縮小 原発停止リスク映す

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【新電力ニュース】2020/02/14 電力先物、東西価格差が縮小 原発停止リスク映す
東京商品取引所の電力先物市場で東日本と西日本の先物価格に微妙な変化が生じている。先物市場では、原子力発電所が動かず電力需給が締まっている東日本の方が高い状態が続く。それが、ここにきて西日本でも原発稼働の行方が不透明になり、今年後半の決済月にかけての取引では東日本の価格に近づいている。東西価格差はここ3カ月で1割以上縮小し「東高西低」の構図が薄れつつある。

電力先物市場は東商取が2019年9月に開設した。電力自由化で小売りなどに参入した新電力などが売買する現物スポット価格の変動をヘッジ(回避)するニーズに対応。15カ月先までの先物を月ごとに取引できる。市場規模はまだ小さいものの、東商取が複数の電力会社からの集計を基に毎日公表するフォワードカーブ(先物曲線)の動きが市場の相場観を知るうえで参考になる。

上場4商品のうち、1日24時間の電力を取引する「ベースロード電力」について東日本と西日本のフォワードカーブの形状を比べると、今年夏から秋の限月では東が西より1キロワット時1円以上高く推移する。この価格差が冬に近づくにつれて縮小し、1円を下回る。21年1月物に限ると「東西で価格差がなくなる日も目立つ」という。

背景には西日本の原発でテロ対策施設の工事が設置期限に間に合わず、多くの原発が停止を迫られている事情がある。九州電力の川内原発(鹿児島県薩摩川内市)1、2号機が今年春以降に8~9カ月の長期停止に入るほか、関西電力の高浜原発(福井県高浜町)3、4号機も夏から秋以降に4~5カ月間止まる。電力需要が上向く冬場に複数の原発停止が重なる。

さらに四国では伊方原発(愛媛県伊方町)3号機について火山噴火の被害想定を不十分だとした広島高裁が運転差し止めの仮処分を決定。今春の再稼働が難しい情勢になっている。各電力会社は原発が停止する間、燃料コストがかかる大きい火力発電への依存度が高まる。需給の引き締まりと発電コストの上振れが意識され、地域の電力スポット価格の上昇圧力になっている。

高浜原発と伊方原発の停止が伝わる前の昨年秋と比べても、東西差の縮小が見て取れる。20年2月~21年1月物の先物価格を東西それぞれで平均すると、今年2月5日時点では東が1キロワット時9.12円、西が8.19円で価格差は0.93円。昨年11月5日時点では同じ限月平均で1.07円開いており、この3カ月で差が13%縮んだことになる。

11年の東日本大震災以降、原発の再稼働は関西や九州で先行し、西のスポット価格が東より安い状態が続いた。地域別の電源構成をみると東北や関東は火力比率が8割前後に達するのに対し、関西や九州は7割程度にとどまる。

さらに15年以降は燃料コストのかからない太陽光発電が九州などで相次ぎ稼働し、西日本の相場を一段と押し下げた。東高西低の構図が定着したが、ここにきて「相次ぎ浮上した西日本の原発リスクが波乱要因として意識されている」(日本データサイエンス研究所の大場紀章フェロー)。

市場の先行き不透明感が強まる中、東商取では年明け以降に20年4月からの1年間の電力価格を固定する立会外取引が相次ぎ成立。1月の売買高は1億4424万キロワット時と昨年9~12月累計の3倍以上の水準に達した。高まりつつある価格リスクの回避ニーズを継続的に取り込めるかが市場活性化のカギになりそうだ。


出典:日本経済新聞