2020/03/25 新電力、ごみ発電 争奪

ご質問・お問い合わせはお気軽にどうぞ
お電話は平日9時から18時まで
0120-978-105
見積り対応件数ダントツNo.1

新電力ニュース

【新電力ニュース】2020/03/25 新電力、ごみ発電 争奪
清掃工場が自家発電する電気に新電力が熱視線を送っている。北海道の2020年度分の主な8工場の落札者はすべて新電力となり、全体の7割強だった3年前からさらに増えた。出力が一定しない再生可能エネルギーと違い、年間を通じてまとまった量を調達できる魅力が大きいようだ。

清掃工場はごみを燃やす際の熱で蒸気タービンを回し、発電している。作った電気は工場内で使用するか、固定価格買い取り制度(FIT)を利用して北海道電力に売電。余れば入札によって売電している。

石炭火力発電などと比べ、環境負荷の小さい電気として引き合いは強まっている。日立造船は函館市日乃出清掃工場(函館市)から電気を調達。担当者は「一定の発電量が期待でき二酸化炭素(CO2)削減を見込める」とし、電源の約8割を清掃工場に頼る。

くりりんセンター(帯広市)など2施設を落札したNTTグループのエネット(東京・港)は電力小売りの顧客件数が1月末で5000件弱に達し、16年春の参入時から10倍以上に膨らんだ。CO2実質ゼロの電気に切り替える動きが19年ごろから強まっているという。同社の竹広尚之取締役は「電力会社に依存しない電源を集めることで競争力が高まる」と話す。

同社のように16年の電力小売り自由化後に参入した新電力は存在感が高まっている。札幌市内の清掃工場が入札を本格化した17年度分は北電が8工場のうち2つから電気を調達したが、20年度は全て新電力が落札した。

競り落とした電気は自社の電源とするだけでなく、他の電力会社に転売して利ざやを稼ぐケースもある。札幌市白石清掃工場(札幌市)から調達するゼロワットパワー(千葉・柏)は購入した電気を他の電力会社に販売して利益を伸ばす。

1つの入札に8社が参加するほど競争は活発な半面、1キロワット時あたりの落札単価は下がる傾向にある。19年3月には北海道と本州をつなぐ北本連系線の容量が1.5倍の90万キロワットに拡大し、電力の市場調達コストも低下している。ここ数年で道内でも再生エネなど電源の選択肢も広がった。

北電は札幌白石の17年度分を落札していたが、19~20年度分は同工場の入札に参加していない。北電は入札の参加基準について「市場価格や火力燃料費の抑制を考慮して対応している」(広報部)としており、新電力との過当競争に飛び込むつもりはないようだ。

清掃工場を運営する自治体にとってはごみを安定して処理することが最優先で、電気はあくまで副産物。ごみ処理や発電設備の点検・修繕の状況によっては発電が不安定になることもある。

電力・ガス取引監視等委員会によると道内の販売電力量に占める新電力の比率は19年12月時点で19.8%で全国(16.2%)を上回る。19年3月には新電力大手のF-Power(エフパワー、東京・港)が道内の大口向け販売から撤退している。清掃工場という一つの断面だけを切り取っても、厳しい競争環境が浮かび上がる。


出典:日本経済新聞