2020/08/24 東電・中部電、EVを定額充電 まず企業へ月額5000円

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【新電力ニュース】2020/08/24 東電・中部電、EVを定額充電 まず企業へ月額5000円
東京電力ホールディングスと中部電力は、電気自動車(EV)向け充電の定額サービスを2021年にも始める。全国で約7千基の充電器について、まず企業向けに1台あたり月額5千円前後から提供する。国内の電力需要は新型コロナウイルスの影響で落ち込んでいるほか、少子高齢化で中長期的にも減る見通し。一方、世界的な「脱炭素」の流れでEV向け需要は拡大が見込めると想定し、新たな収益源として育成を急ぐ。

東電と中部電が共同出資する「e-Mobility Power」(イーモビリティパワー、東京・港)が事業を手掛ける。定額サービスの対象は営業車など業務用EVを持つ企業で、1台あたりの月額は5千円前後からになる予定。イーモビリティが発行するカードを充電器にかざすことで充電できる仕組みだ。

現在全国で設置されている急速充電器の約8割にあたる約7千基は、自動車大手や東電などが出資する日本充電サービス(東京・港)が管理している。イーモビリティは21年にも日本充電サービスから事業を継承する予定で、こうした充電器を活用してサービス展開を進める。

充電能力を倍増へ


現在の大手である日本充電サービスのEV向け充電は、完了まで15~30分程度。月額3800円の基本料に加え、1回あたり450円前後を支払う(いずれも税別)。企業が業務用にEVを使う場合、充電頻度によっては月額が1万円超となる場合もある。定額なら充電量が増えても出費を抑えることができ、自社の車両をEVに切り替えやすくなる。イーモビリティは需要をみながら個人向けサービスも順次始める予定だ。

20年秋からは新たな充電器も設置する。25年度までに充電能力を現在から倍増させ、1万4千台分を提供する方針だ。高速道路や「道の駅」のほか、コンビニエンスストアなどの商業施設にも設置していく。

国内の電力需要は新型コロナの影響で企業向けが減少。中長期的にも少子高齢化が響く。電力需給を管理する電力広域的運営推進機関(東京・江東)によると、20年度から29年度にかけて全国の電力需要は1%超減る。

加えて電力の販売競争が激化しており、特に大手電力の苦境が深まっている。東電の小売会社の20年3月期の経常利益は前の期比17.5%減った。こうしたなか、「EVは数少ない電力需要の開拓先」(大手電力幹部)との声が上がる。

インフラ整備に遅れ


調査会社の富士経済(東京・中央)によると、日本における19年のEVの新規販売台数は約2万台。中国の95万台や欧州の37万台などと比べてまだ小さい。充電器などインフラの整備が進んでいないことも一因だ。

地図情報会社のゼンリンによると、全国に充電器(急速用と普通用の合計)は約3万基あるが、全体の設置基数は横ばい傾向だ。一部の高速道路では充電器の順番待ちが発生する事態となっている。東電と中部電は割安な充電サービスや充電器の設置を通じ、EVの普及を後押しする。関西電力も7月から企業に対しEVや充電器を一括でリースする事業を始めた。

世界の電力会社もEV向け市場の開拓を急ぐ。欧州電力大手のバッテンフォールはホンダと組み、電力需給の管理や安価に充電するサービスの提供を予定。米電力会社のLSパワーは充電スタンドの運営会社の買収を発表した。環境規制の強化を受けたEV市場の拡大を見据え、こうした潮流は今後も広がりそうだ。

猛暑でも電力需要低迷


電力広域的運営推進機関(東京・江東)によると、8月前半(1~15日)の全国の電力需要は約390億キロワット時で、前年同期比で7.1%減った。猛暑で冷房需要が伸びる一方、新型コロナウイルスの影響で工場や小売店など法人向けの電力販売が低迷したとみられる。

8月前半の電力需要を地域別にみると、関東は7.4%減、関西は6.1%減だった。法人向けの電力需要が大きい中部地域は9.1%減と、落ち込みが大きかった。

ある中堅の新電力は「8月に入っても需要が数十%ほど減っている法人顧客がいる」と明かす。
電力需要における新型コロナの打撃は大きい。緊急事態宣言が発令された4月は全国で前年同月比約4%減、5月も約9%減った。6月には約2%減まで回復したが、感染者数が急増した7月には約6%減と減少幅が再び拡大した。

大手電力の収益にも影響している。東京電力ホールディングスの20年4~6月期の連結売上高は前年同期比11%減の1兆3413億円だった。

足元では電力需要の減少に加え、太陽光など再生可能エネルギーの発電量が増加したことで電力の卸市場価格が安値傾向だ。新電力が市場から安く電力を調達できるようになり、価格競争力が向上。新電力が小売市場で攻勢を強め、大手電力の顧客流出が加速する可能性もある。


出典:日本経済新聞