2020/08/19 電力供給が限界、カリフォルニアの暗く暑い夏  英フィナンシャル・タイムズ

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【新電力ニュース】2020/08/19 電力供給が限界、カリフォルニアの暗く暑い夏  英フィナンシャル・タイムズ
米カリフォルニア州で今週、何百万人もの住民の照明やエアコンがいきなり消えるかもしれない危機に陥っている。記録的な熱波に対処するために電力供給が能力の限界まで近づいており、州が輪番停電を計画しているからだ。

米国で最も人口が多いカリフォルニア州は17日は大規模停電を回避した。しかし、同州が再生可能エネルギーへの転換をすすめているなか、極端の需要変動には対応できない現状が露呈した。同州のニューソム知事は同州のエネルギーに関する計画立案がお粗末であることを認めざるを得なかった。

再生エネ推進が裏目に


カリフォルニア州は過去10年間で、太陽光発電の能力を大幅に増強し、風力発電の能力もそれなりに増やしてきた。また、大規模な原子力発電所の閉鎖を認可し、天然ガスによる火力発電の伸びを抑制してきた。

この1週間は、太陽光発電の欠点が明白になった。気温が日々38度超まで上昇し、日が暮れる夕方から夜にかけて、エアコン使用が急増したからだ。同州の送電網を管理するカリフォルニア独立系統運用機関(ISO)の当局者らによると、通常は安定して電力を調達できる近隣州も、同じ熱波に対応するのに苦慮しているため、売電する余力はほとんど残っていなかった。

「電力需要の予測は、どんどん暑くなっている気候変動の現実を反映している」。カリフォルニアISOのスティーブ・バーベリック最高経営責任者(CEO)は17日、役員会でこう語った。「残念ながら、需給を均衡させるために、電力会社に数百万人規模で電力供給をカットするよう依頼せざるを得なくなるのはほぼ確実だ。今日と明日、もしかしたら、その先も必要かもしれない」

バーベリック氏によると、カリフォルニアISOは何年も前から、カリフォルニア州公益事業委員会に対して、需要が最大に達した時期の電力不足について警鐘を鳴らしてきた。「現状を避けることはできた」と言う。

カリフォルニアの電力産業は、過去も問題が多発してきた。20年前には、お粗末な規制緩和策で停電が相次ぎ州が何十億ドルもの損害を被り、当時のデービス知事の解職につながった。

昨年秋、カリフォルニア州北部の大半に電力を供給している大手パシフィック・ガス・アンド・エレクトリック(PG&E)が所有する設備が山火事を引き起こした際には、新たな火災の発生を防ぐために、数百万戸の顧客へのサービスを一時的に停止することになった。

山火事が増える時期になり、カリフォルニア州森林保護防火局は現状で20件以上の火事を報告している。だが、22万戸の顧客に影響が出た先週末のPG&Eの停電は、同社によると、需要に対応しようとする送電業者からの要請を受けたものだという。

PG&E、南カリフォルニア・エジソン(SCE)、サンディエゴ・ガス・アンド・エレクトリックがそろって輪番停電の可能性について顧客に警告を出す一方、カリフォルニアISOは顧客に対し、自主的にエアコンの設定温度を上げ、窓のブラインドを閉め、冷蔵庫のドアを常に閉めておくなど、さまざまな節電対策をとるよう呼びかけた。

今後も猛暑続く見込み


ニューソム氏は、送電業者や公益事業委員会、州のエネルギー計画機関に対応策を求めたが、それでもカリフォルニア州はクリーンエネルギーの目標を貫くと語った。

「暑い時期がどんどん暑くなり、乾期がどんどん乾き、雨期の雨がどんどん増すことから、カリフォルニアの人は誰もがその影響を免れられない。気候変動について甘く考えているわけではなく、我々は長年、その影響を認識してきた」。ニューソム氏はこう述べた。「エネルギーを作り、消費する方法を劇的に変えることに我々はコミットしている」

米調査会社S&Pグローバル・プラッツで北米電力分析担当のシニアマネジャーを務めるモリス・グリーンバーグ氏は、電力会社が供給を模索するなか、17日のピーク時に供給される電力卸売価格が1メガワット時当たり400ドルに高騰し、約30ドルの平均から跳ね上がったと話している。

過去数日間、米西部の都市で続いた38度以上の猛暑は、今後も続く見込みだ。カリフォルニアの州都サクラメントの米国立気象局の気象予報士、シエラ・リトルフィールド氏は、「20日には最高気温が少なくとも38度前後に達すると見ている」と語った。

電力のピーク需要は18日に5万485メガワット(MW)に達し、2006年夏の従来の過去最高記録を上回る見込みだとISOは述べた。だが、当局者らによれば、06年当時の州の発電能力は、その後閉鎖されたサンオノフレ原子力発電所を含め、20年よりも大きかった。

蓄電設備導入でも根本的な解決にならず


17日夜、州の電力不足はは最大で4400MWに達したとISOは述べた。カリフォルニアISOのマーク・ロスレダー・バイスプレジデント(市場ポリシー・パフォーマンス担当)は、猛暑で森林火災が増え、それに伴う火災雲が太陽光発電、さらに風力発電の発電効率を引き下げていると指摘する。同氏によると、天然ガスによる火力発電所も、気温が低い時よりも高い時の方が発電量が少ないという。

ISOは5月、「低確率で供給不足に陥る」ことについて説明していた。同時に、今春の雪解け水の水量が平年のわずか63%でピークを迎えたため、水力発電の量が通常より少なくなるとも警告していた。

クリーンエネルギー専門のコンサルティング会社グリッド・ストラテジーズのマイケル・ゴッギン・バイスプレジデントは、蓄電設備を大量に導入すれば、需要のピーク時の電力送出に役立つと話している。カリフォルニアISO内の蓄電能力は、現在の約200MWから、年末までに900MW超に増えるという。

「カリフォルニアの送電網の移行期にあって、今は厄介なタイミングだ」(ゴッギン氏)。

しかし、バーベリック氏は17日のISO役員会で、「蓄電設備だけでは、電力不足を解消できない。蓄電設備は、再生可能エネルギーの比重が高い電力システムで重要な役割を担うが、電力を生み出さない。太陽光発電所の上に長期にわたって雲が発生すれば、蓄電もできない」と語った。

By Gregory Meyer and Richard Waters

(2020年8月18日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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