2021/02/10 「電源構成、国情踏まえ」

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新電力ニュース

【新電力ニュース】2021/02/10 「電源構成、国情踏まえ」
飯島彰己・三井物産会長 談

菅義偉首相が所信表明演説で2050年の温暖化ガス排出実質ゼロを掲げたがすごい決断だと驚いた。さらなる政策支援があれば、30年度に電源構成に占める再生可能エネルギーの比率は30%超くらいまではいけるのではないか。しかし、50年ゼロとなると次元が異なる。中国も60年に主要国並みにすると表明した。日本も先送りせずに覚悟を決めてやろうということだろう。

日本の環境問題への取り組みが遅れているという指摘があるが、各国の事情の違いなどを踏まえて考えないといけない。欧州は遠浅の海があり、安定的に風が吹くので洋上風力に適している。日本は太陽光発電のための平地が狭く、安定的に風が吹く海域が狭い。50年にすべての電源を再生エネにすることは不可能だ。原子力や火力発電も必要だ。

石炭火力は高効率の発電機を使い、生じる二酸化炭素(CO2)を回収・利用・貯留するCCUSなどの技術を組み合わせればいい。石炭は価格も低位安定していてどこにでもあるし貯蔵もできる。液化天然ガス(LNG)などは偏在している。日本海などCO2を貯留できる海域はある。海外でのシェール開発などで地下にCO2を埋めるノウハウなども日本企業にはある。CO2を新素材など化学品に仕立てるなどイノベーションを通じてカーボンリサイクルを形成することも可能だ。

発電部門の課題は、現在2割弱にとどまる再生エネの比率をどこまであげられるかだろう。再生エネは気候条件などによって出力が変動するため、原発も必要になってくるだろう。米国では原子力発電所の稼働率は90%を超えている。

日本では東京電力福島第1原発事故があり、原発への信頼は落ち込んだが、今、米国では安全性を高めた小型炉の開発が進んでいる。原発は中国が台頭しているし、原発を必要としている途上国もある。エネルギー外交で日本は後れをとってはいけない。原発の知見を持つ人材が途絶え、技術が劣化するのが一番心配だ。

再生エネの比率を高めると、送配電網の増強などで電気料金が上がると心配する声もあるが、電気料金が5割あがっても省エネに秀でる日本の産業は耐えられると思う。ただ、卸市場、容量市場、調整市場などたくさんの取引市場が乱立し、複雑になっている。市場の仕組みを簡素化して、規制も見直すべきだ。新エネ会社の参入を促して電気料金を下げる環境を作る必要がある。

水素や蓄電池などを巡る開発を進め、新たな産業を当面創出できれば雇用も生み出せる。水素は運搬などにコストがかかるので、活用できる場所は限られると思うが、発電などに大量に使うようになればコストは下がる。すでにLNGに水素を混ぜて発電する取り組みも進んでいる。燃料電池車よりはるかに多くの水素を使う発電用に回せれば火力発電の排出比率も下げられる。

価格など競争力のある電力を作っていかないと日本の製造業などにも影響が出る。中国も原発開発や再生エネで台頭している。50年排出ゼロの目標は、日本の産業全体の問題として捉えないといけない。

出典:日本経済新聞