2021/02/15 電力システムは脱炭素できない!

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新電力ニュース

【新電力ニュース】2021/02/15 電力システムは脱炭素できない!
電力需給が逼迫していた。年末から続く寒波が需要を押し上げ、緊急事態宣言が拍車をかけた。全国で需給バランスが崩れ、電力スポットは昨年同時期の20倍にまで高騰した。今回の需給の逼迫は電力システムが潜在的に抱えるひずみをあらわにした。脱炭素に課題は山積みだ。

発電事業者に最大出力での運転を求め、電力会社間の電気の融通、地域をつなぐ送電線の容量を広げるなどあの手この手でやりくりしたが、使用率は一時的に98~99%に達した地域が相次いだ。

何故ここまで逼迫したのか?ニューヨークやカリフォルニアで起こった大規模停電は、遠い海外の出来事ではない。以下が今回浮き彫りとなった現在の電力システムの課題といえよう。

①液化天然ガス(LNG)
液化天然ガス(LNG)は海外から輸入し貯蔵している。ところが国内のLNG在庫は2週間分しかなく、新規調達して手元に届くまでには2カ月が必要となる。

しかし電力各社は需要増への対応を液化天然ガス(LNG)に頼らざるを得ない。石炭火力発電所は運転のスタートや停止に時間がかかる。LNGはフル出力に達するまでの時間が短く、急激な需要変動を補う調整火力としての役割が大きい。

夏の需要増は夕暮れとともに低下するが、冬の寒波による需要増は夜間の長い時間にわる。稼働率を上げた結果、燃料のLNG消費が早まり、LNGの需要は急増、一方在庫は急減少した、これがLNGの高騰を引き起こした。

※液化天然ガス(LNG)は化石燃料の中で最も二酸化炭素(CO2)の排出量が少ない。

→LNG火力が石炭石油火力に代わり中心を担うとしても、今回明らかになった燃料確保の弱点を含め、安定的に使う環境を整える必要がある。


②原子力発電 
石炭火力発電所以上に、原子力発電所は運転のスタートや停止に時間がかかる。福島の原発事故以来、ベースロード電源と言われる大規模出力の原発は現在再稼働が進んでいない。

→原子力発電所の再稼働には意見が割れるところだが、CO2を排出しないベースロード電源として政府の電源構成比(エネルギーミックス)では、2030年度20~22%を原発で賄う方針だ。

→ドイツは脱炭素、脱原発を推進しているが、電力需要のピーク期(冬季)に再エネの出力が下がった場合には、供給力が需要を下回る時間帯が発生する。この状態で大停電が起きないのは、ひとえにこのギャップを国外からの電力輸入で埋めることができるからである。その電力は主にフランスやスイス、チェコ、デンマークから来ている。デンマークを除き、これらの国々は全て原子力国である。ドイツが変動の大きい再エネを増やしてこられたのは、国内の石炭火力と、近隣の原子力国からの電力輸入によって需給のバランスを取ることが可能だからである。


③再生可能エネルギー(太陽光発電)
太陽光発電は晴天時に発電するわけだが、曇りなどで紫外線が届かない雲に覆われるたり夜間の時間帯は発電しない。今回この太陽光発電も遠因だ。この冬一番の寒気が流れ込み、九州電力管内の太陽光発電は、前年に比べ20~40%落ち込んだ。減少分は原発2基分に相当する。また東京電力管内では、冬場の晴天時には太陽光発電の出力が1000万キロワットを超える日もあが、曇が続いた12日などは一日出力がほとんど出ない状態だった。

→再生エネの主力電源化には、時間や天候による供給の変動を最小に抑える蓄電池の効率向上や大型化など、電気をためて使う仕組みがセット。

→政府が力を入れ始めている洋上風力では、日本はまだ実証事業の段階。

脱炭素へ向けた電力の安定供給システム構築
電力自由化がもたらす競争原理の導入による低価格化の恩恵ばかりに目が向き、安価に推移していた電力市場連動型のプランを契約していた顧客たちは、今回の電力逼迫価格高騰であわてたに違いない。脱炭素、自由化、安定供給。この3つの要素をコストを最小限にとどめながら同時に実現する道を探らねばならない。

中長期では地域を越えて電力を柔軟にやりとりできる送電網へのつくりかえや、反対に送電線で電気を遠隔地に運ぶのでなく、発電した場所で利用する地産地消の分散型エネルギー利用への転換を促すことも必要だ。