2021/07/28 電力先物 取引急増

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新電力ニュース

【新電力ニュース】2021/07/28 電力先物 取引急増
日本の電力先物取引が増えている。今年1月の電力価格の急騰を受け、電力小売事業者が損失リスク回避のために先物を利用するニーズが増えてきたからだ。

電力の先物取引は2019年9月17日に東京商品取引所(TOCOM)で始った。当初の取引は低調だったが、2021年4~6月の売買高は電力量換算で3億キロワット時を突破。約90万世帯が月間で消費する電力量に相当する。前年同期との比較では8割多い。

変化のきっかけは今年1月の電力市場のスポット価格の高騰だ。寒波到来で暖房需要が伸びる一方、電力供給が不足。日本卸電力取引所(JEPX)の卸電力価格が急騰し、損失を被った新電力のF-POWERが経営破綻に追い込まれた。新電力に、リスク回避のために先物取引を利用すべきとの認識が拡がっている。事実、電力ガス取引監視等委員会によると、電力先物取引を利用する小売電気事業者は4月時点で全体の1割強にとどまるが、利用の準備を進めているとの回答は4割近い

このように電力市場JPEXで調達するスポット価格は乱高下しやすく、寒波や猛暑などでエアコンの利用が増える時期には、取引価格が数倍に跳ね上がることもある。

電力先物は、最初に取引した価格と、その後に反対売買した価格の差額を金銭で決済する。冬場や夏場に決済期日を迎える電力先物を買っておけば、寒波や猛暑などで電力の調達価格が急騰しても、先物の値上がり益で相殺できる。

しかし売買高のさらなる増加へ重要なのが取引参加者の多様化だ。現在の取引参加者は8割以上が国内電力会社で、発電設備を持たない新電力などの小売事業者が中心だ。

電力需給が逼迫するとの観測が強まった場合、新電力などの小売事業者は価格高騰による損失を避けようと先物に買い注文を入れるのが一般的。売り注文は出しにくい。

一方、電力先物取引で先行する欧州では金融機関などのトレーダーも参加する。同じ局面でも「実際にはそれほど電力供給は不足しない」と判断すれば売り注文を出し、先物価格が下がったときに買い戻して利益を稼ごうとすることも多い。

日本には市場の成長性を評価したドイツの欧州エネルギー取引所(EEX)が進出。業者間で相対で取引する電力先物の決済履行を保証する清算(クリアリング)サービスを2020年5月に始めている。

EEXの電力先物は日本に発電設備を持たない海外電力会社や、総合商社なども参加。価格変動リスクの回避だけでなく売買差益を狙うトレーディング目的の取引も多い。4~6月の売買高は約12億キロワット時と電力量換算で東京商品取引所の約4倍ある。

東京商品取引所活性化には大手電力会社など発電事業者の参加が増える必要がある。先行する欧州の電力先物市場にならい、さらに知恵を絞る必要がある。日本は電力消費量で世界4位の規模を誇り、世界中の資金を呼び込めれば、電力先物取引で先行する欧州以上に取引が活発になる可能性もある。