2015/03/09 電力全面自由化、新電力が価格攻勢

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新電力ニュース

【新電力ニュース】2015/03/09 電力全面自由化、新電力が価格攻勢
政府が電力とガスの全面自由化を決めた。電力は来年4月の家庭への小売り解禁を控え、先行するマンション市場ではすでに競争が過熱している。電力会社と新規参入企業の競争で電気やガス料金は下がるのか。自由化の現状と課題を探った。

 「電気代が半額になった」。千葉県市川市で200戸超が入居するマンション管理組合の理事長を務める山下晴人さんは、毎月の電気料金の請求書に顔がほころぶ。

 2013年に電気の契約先を東京電力からオリックス電力に変えたら、マンションの共用部分の年間電気代が約300万円から150万円に下がった。山下さんは「おかげで修繕費の原資ができた」と話す。なぜ電気代は下がるのか。

 マンションへの一括供給はすでに自由化された大口契約の分野。電力会社は工場から家庭まであまねく電気を届けるのに大きなコストがかかる。一方の新電力はマンションに絞って電力供給すれば、追加コストは数百万円かかる変電設備の交換で済む。新電力は電気代を大幅に割り引いても数年で投資を回収できる。

 東日本大震災後に電気料金を上げた東電や関西電力の管内では、マンション契約の1割前後が新電力に移ったとみられる。16年以降は戸建ても含む約1億件の電気やガスの販売が解禁となり、10兆円規模の市場が競争の舞台になる。

 電力・ガスの地域独占が崩れることで「関西電力が東電の管内で電気を売る」など大手同士の競争も激しくなりそうだ。東電は中部電力と共同での燃料調達に足がかりをつけた。関電と東京ガスも提携を検討している。

 英国では99年の自由化後3年で料金が6%下がり、60%の需要家が契約を切り替えた。日本でも値下げは広がるのか。

 「電源が足りない」。全国で2600万人の会員がいる日本生活協同組合連合会の担当者は困り顔だ。戸別訪問に強い生協が電力小売りに本格進出すれば電力会社にとって大きな脅威になるが、実際には電気の大規模な調達が困難だという。

 発電所を新設すれば、コスト回収が済んだ古い発電所を動かす電力会社に比べて調達費は割高になる。結果として小売りへの参入は難しくなる。

 先行して自由化した欧米では新電力が電気を卸売市場で調達している。市場の売買高が消費電力量に占める割合はドイツや英国で50%を超える。

 一方、日本の卸電力取引所はわずか1%どまり。経済産業省は電力会社にたびたび取引所への供給増を呼びかけてきたが、売買高は微増にとどまる。電力会社が競争相手となる新電力に電力を売り惜しんでいるとの見方が多い。新電力側からは「電力会社が発電した電気を新電力が入札で調達できる仕組みの導入を」(オリックス電力の細川展久社長)との声も上がる。

 さらに発電コストの内訳は4割が液化天然ガス(LNG)や石炭などの燃料費だ。「消費者が値下げの恩恵を受けるには燃料費が下がる必要がある」(大和証券の西川周作アナリスト)。原子力発電所が動かないままだと値下げが進まない恐れもある。

 19世紀後半から民主導で整備された電力市場は戦前に「家の1階と2階で契約先がちがう」ほどの激烈な競争を生んだ。1936年には過当競争の是正と戦時統制に向けて電力国家管理の方針が出され、戦後は9電力会社による地域独占が続いてきた。80年ぶりの大競争時代は課題含みで幕を開ける。