2017/01/13 経産省が進める電力改革

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新電力ニュース

【新電力ニュース】2017/01/13 経産省が進める電力改革
既存電力会社が発電した電力を新電力も使えるようにする必要がある。そこで貫徹小委は市場を通して新電力が潤沢に電力確保できるよう、数々の仕組みを今回のとりまとめ案に盛り込んだ。

「ベースロード電源市場」に「先物市場」、「容量市場(容量メカニズム)」に「非化石価値取引市場」…。市場制度を拡充するために盛り込まれた仕組みは数多く、とりまとめ案は極めて複雑だと言わざるを得ない。「こんな案をどうやって具体化していくつもりなのか」(電力会社幹部)とその実現を疑問視する向きもある。

 もともと電力業界には、日本卸電力取引所(JEPX)という市場があり、自前で発電所を持たない新電力でも事業展開できるよう、必要とする電力を前日とか直前に調達できる仕組みがある。だが、既存電力会社から市場に放出される電力の量が十分ではなく、そこでやり取りされる電力量は全体の1割も満たなかった。

 そこで、とりまとめ案では「ベースロード電源市場」という新しい市場を作る計画を掲げる。安価かつ安定的に大量の電力を生みだす原子力や石炭、水力発電で生み出した電力を、新電力などがここで長期に渡って調達できるようにし、発電所を持つ既存電力会社に対しても、きちんと石炭火力などの電力を放出するよう担保する仕組みを作るという。

 現状では、現物の電力しか市場でやりとりできないが、今後は先物市場を作って電力の流動性を高めることも計画。また、需要家が節電した「ネガワット」と呼ばれる電力量に対して、電力会社が対価を支払うような仕組みも検討している。多数の需要家による節電電力を束ねることができれば、それなりの規模になる。これを、電力を発電したのと同義に捉えて、市場などで取引できるようにするわけだ。

 既存電力会社はこれまで、発電所の建設に投じたコストを、何十年もかけて電気料金で回収してきた。総括原価方式により安定して料金回収できたために、大規模投資に踏み切れたわけだ。

 これが撤廃され、価格が安定しない市場原理で電力が売買されるようになると、電力会社(発電会社)は従来のような電力販売の長期見通しを立てづらくなるので、設備投資に後ろ向きになり、発電所の建設や建て替えが進まなくなる恐れがある。これを回避するために、電力だけでなく電力の供給力(容量)に対して送配電会社や電力量小売り業者が対価を支払う仕組み(容量メカニズム)も導入するとしている。

 電力を市場でやりとりするデメリットの一つとして、太陽光や風力など再生エネルギーを使って発電した電力の「非化石価値」が埋没してしまう点がある。市場取引では再エネの電力と石炭や天然ガスなど化石燃料で発電した電力とを区別せず、一緒に価格決定してしまうからだ。これでは再エネの拡大は見込めない。そこでとりまとめ案では、電力そのものと、非化石価値とを分け、後者だけを売買できる仕組み(非化石価値市場)を作ることも求めている。


こうした数々の仕組みが実現すれば電力自由化は進むだろう。ベースロード電源市場が軌道に乗り、市場での競争により電力の調達価格が1kW時当たり1円安くなったとする。新電力が販売する電力の3割がここで取引されるようになれば、調達コストは年間250億円減ると経産省は試算する。先物市場が成立すれば、市場取引の安定性は増し、非化石市場ができれば再エネも拡大。容量メカニズムにより将来に備えた発電設備の確保にも道が開ける。まさにいいことずくめだ。

 もっとも、大まかな枠組みまでは決まりつつあるものの、具体的なルール作りはこれから。たとえばベースロード電源市場に既存電力会社はどこまで電力を放出するのか、放出量をどう担保していくのか。容量メカニズムで発電容量を確保するのは、小売り事業者なのか送配電事業者になるのか、決めなければならないことは山ほどある。

 市場原理の導入により、これまでの安定した経営を揺さぶられることになる既存電力会社は「経産省は勇み足をしている。自分たちの要望をぶつけていって有利な形にしないといけない。本番はこれからだ」(電力会社関係者)と危機感を露わにする。経産省は2020年までに各制度の導入にメドを付けたい考えだが、経産省、新電力、そして既存電力会社間の綱引きが激化することは避けられない。システム改革という理想を経産省は貫き、残り4年で改革実現のメドをつけられるか。真価が問われる。